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おそらのうえで。

おそらのうえで。

*線香花火*



 「線香花火って落ちずに終わったら
   一つ幸せになれるんだってさ」


 夏の終り

 線香花火

 
 *線香花火*


 「何、それ。子供だましっぽい」


 付き合い始めて間もない君と

 夏の残りの花火持って

 二人っきりの花火大会。



 「君ってロマンチストだったんだ」


 君の話を

 私は信じることなく

 笑ってた。


 「お前にはロマンのかけらもないな」


 ちょっとふてくされて

 君は一人

 線香花火に火をつけたんだ。


 こおろぎの声と

 線香花火の燃える音だけが

 二人を包み込む。

 
 「あ・・・」


 君の線香花火は

 途中でおっこちちゃった。


 「あ~ぁ」


 落ち込む君の隣で

 私はクスクス笑いながら


 「本当に一つ幸せになれるか
    私も試してみよっかな」


 そう言って

 線香花火に火を付けた。


 二人して

 線香花火をみつめてさ。




 「あぁ~っっ」

  
 思わず叫んだ私。


 「見た見た?落ちなかっ・・・」


 バカにしてたくせに

 おおはしゃぎする私の唇に

 そっと触れた

 温かいぬくもり。


     
  君との
  
    はじめてのキス



 驚く私に

 君はにっこり微笑んだ。



 「一つ幸せになれた?」



 あのね

 そんなのなくたって

 君とこうして肩を並べて

 花火してるだけで幸せなのに

 君と笑っているだけで

 幸せなのに

 そんなことされたら

 私のココロの中は

 幸せいっぱいになっちゃうじゃん。

 
 幸せいっぱいになるとね

 きゅぅ~んってなってね



 「スキだよ」



 君がスキだってキモチ



 「大スキ」



 とまんなくなっちゃう。




 
 「俺、花火途中でおっこちたのに
   幸せになっちゃったじゃん」


 私の言葉に

 君はそう言って

 照れ笑い。




   ねぇ、来年も線香花火しようね。









* ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * ☆ * 

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bbs

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